向精神薬で薬物依存症に陥る患者が増加 12年間で割合倍増
産経新聞 5月8日(水)10時46分配信
精神科などで処方される向精神薬の服用で薬物依存症になった患者の割合が、平成12~24年の12年間で約2倍になったことが7日、国立精神・神経医療研究センター(東京)の調査で分かった。向精神薬は法律の取り締まり対象だが、医師の処方があれば治療に使用することができる。安易に使い続けて依存症になる患者も少なくないといい、関係者は「安直に処方し続ける医師側にも責任がある」と指摘している。
調査は、同センターが隔年で精神科病床がある全国の医療施設を対象に実施。昨年は全国1609施設で9~10月に診察を受けた患者(有効症例848例)が薬物依存症の原因になった薬物を調べた。
この結果、睡眠薬と抗不安薬を合わせた向精神薬の割合は128例で全体の15・1%。覚醒剤(356例、42・0%)、脱法ハーブを含めた脱法ドラッグ(138例、16・3%)に次ぐ3位だが、73例で全体の7・4%だった平成12年から50例以上増え、割合では2倍以上になっている。「向精神薬」が全体に占める割合は8年に最低レベルとなり、以降ほぼ右肩上がりに増え続けている。12年前後から抗鬱薬の新薬が登場、精神科受診への抵抗感が薄れたことが影響しているとみられる。
同センターの松本俊彦・診断治療開発研究室長は「医師側も向精神薬を与え続けるだけではなく、最終的に患者を断薬に導くためのノウハウを身に付けていく必要がある」とした上で、患者側には「急にやめようとしても頭痛や不眠、記憶障害など副作用を起こす可能性がある」と注意を促している。
数字はほとんど意味がない。要するに精神科医が向精神薬依存症と認定した患者の数だから。もちろんそんなに少ないわけはない。
しかし、このような報道が出てきた事は意義のある事だ。
「向精神薬で薬物依存症に陥る患者」って、向精神薬を常用している人は殆どみんな薬物依存症である。すぐに止めれば依存症とはいえないかもしれないが、受診者数≒向精神薬依存症患者数である。
服薬している患者さんが見ると気を悪くするだろうから申し訳ないのだが…
薬物依存症の人は薬を飲む前から依存症とも言える。
私の所に来る患者や、私の友人知人の中にも私自身も、重症でも薬など飲まない人はたくさんいる。
子供の頃からわかっていた。子供だからわかっていた、だまされなかったとも言えるが。「裸の王様」状態。
「これは気分を変えてウツを軽くする薬です」「不安を和らげる薬です」「眠れるようになる薬です」
「んじゃイラネ」「そんなヤバイ薬は飲まない」「俺を悪の道に誘惑するのかっ!」「そんな奴とはかかわりたくない」
依存症でもなければ、服薬する前に拒否するのがあたりまえじゃないか。
薬は過去を変えることはできないし、現在の自分の問題も周囲の問題も変えることはできない。
理由があってウツや不安や不眠になっているのに。薬がその理由を解決できるわけはない。
依存症を治すのが治療でもあるけど、薬物療法は依存症に依存薬物を与えている事になる。
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睡眠・覚醒の確立。休養も危険!? 寝ても疲れてしまう。 うつ病、不眠症など。
睡眠・覚醒の確立。休養も危険!? 寝ても疲れてしまう。 うつ病、不眠症など。
こちらの記事、『寝れば寝るほど眠くなる、うつ病などの傾眠・過眠・嗜眠』の続き、というか補足です。発達過程と睡眠・覚醒の確立についてです。
健康な人であれば、起きている時は活動して、夜になるとぐっすり眠れるのが普通です。
しかし元々睡眠と覚醒というのは区別があったわけではありません。
お母さんのお腹の中の時の胎児の時は、寝ていたのでしょうか?起きていたのでしょうか?、よくわかりませんが、おそらく寝ていたとも起きているともいえるような、睡眠と覚醒の区別がない状態だったのではないでしょうか? ではその前の胎児の前、細胞分裂をくりしかえしていた頃は?などと考えると頭が痛くなりますが、とりあえず考える必要はないでしょう。
生まれたばかりの赤ちゃんはよく寝るだけでなく、起きている時と寝ている時の区別も殆んどありません。ハッキリとした覚醒は泣いている時だけとも言えます。
まだ外界との関わりが乏しく、感情や感覚も未分化で快不快以外はまだあまりありません。親との関わりや周囲との人的、物的な関わりができてくると、睡眠と覚醒の区別もだんだんハッキリしてきます。寝る時はぐっすりと良く眠れて、起きている時は親があやしてあげたり、有意義な関わりや働きかけがあった方がいいのは言うまでもありません。
「寝る子は育つ」といいますが、あまり小さい頃から大人のように寝るのは夜だけで、昼はずっと起きていては発達に問題を残します。幼児にはある程度の長い時間の睡眠が必要であり、睡眠・覚醒の確立はそれなりの時間かけて発達するものです。
幼稚園や保育園に行く頃になっても、昼寝くらいは必要でしょう。たいてい、お昼寝の時間がありますよね。小学校ではもはやお昼寝の時間はないし、授業中に寝る子供も殆んどいません。(昔はそうでしたが、今はそうでもないかな?)しかし、中学や高校の頃は居眠りをする人は少なくないし、ついつい授業中に寝てしまい、先生に怒られた人も多いと思います。もちろん私もそのクチです。
このように睡眠と覚醒の区別は徐々についてくるものであり、人生の初期にそもそも明確な区別があったわけではなく、確立したのは発達過程において、数年もかけて訓練した結果ともいえます。
睡眠と覚醒の区別が明確にして、生活リズムを保ち、覚醒時の意識レベルを保つことは、日々の生活習慣によってもたらされるものです。これが、「うつ病は休養が必要」だからと行って、ゴロゴロして過眠になり、不規則になると、何日も経たないうちに生体リズムが崩れてしまいます。
体力を保つのには日々の運動も必要であり、一度体力がつけば後は何もしなくても保てるわけではないのと同様です。とりあえず、「うつ病は休養は必要」でもありますが、必要以上の休養は有害でもあり、休養は難しいことともいえます。
うつ病などの精神疾患の人はむしろ休養していても休まらない。何もしなくても神経が緊張しており、脳も体も疲れてしまいます。寝ているときも緊張しており、休まるはずがなおさら疲れてしまう。朝起きたらげっそり疲れて、頭痛や眠気も取れなかったり。仕事や学校に行くどころではありません。この場合、脳の中に無意識の不安や緊張、葛藤があり脳(中枢神経)を無意識に無駄に使っており、身体の神経も緊張して、骨格筋も無駄な力が入っています。
人間、適度な緊張や活動は必要なことで、覚醒時に活動しているからこそ夜はリラックスできてぐっすり眠れるのです。生き生きと活動していれば、そんなに疲れませんし、疲れても休めば回復するし、体力も付くのですが。
抗うつ剤や睡眠薬などの向精神薬は神経の負担も増えるため、神経は余計に消耗してしまうことが殆んどです。
筋弛緩効果、リラックスされる薬であっても神経にとっては不適切な働きであるため、その反動や代償がおこってくるのでず。
抗うつ剤や睡眠薬などの服薬と休養は、うつ病の人が悪化したり良くなりにくい要因にもなっています。
うつ病になって無理して仕事をしていた時より、精神科医に休養を勧められて、仕事を休むと余計に具合が悪くなった、悪化した、慢性化した、などというのは休養、睡眠の問題も大きく、抗うつ剤等、向精神薬もさらに悪い影響を与えることが殆んどです。
前項で過眠の問題を書きましたが、過眠して必要以上の睡眠をとると、覚醒時の意識レベルが低くなり、睡眠と覚醒の区別が乏しくなってきます。睡眠は浅く、起きている時もいつも眠い。
起きて活動するからこそ眠くなる、ぐっすり眠るからこそ、生き生きと活動できるのです。うつ病の人にとっても同様で、むしろ必要なこととも言えます。
生活リズム、覚醒レベルを保つのには、やはり前項で述べたように辛くてもなるべく、どんなことでもイイので活動することも必要なのです。もちろん、なるべくイキイキとした楽しい活動の方がいいのですが、嫌々でもたいへんでも、何もせずゴロゴロするよりは何かしたほうがいいのです。
散歩、ウオーキング、山歩き、水泳など一定のリズムを持った軽い長めの運動は良いのですが、とりあえず前項で書いたような一分間逆立ちをすると、ちょっとやる気も出て、その後の活動がしやすくなります。
この項はまた続きを書くつもりです。
リラクゼーションも必要ですが、根本的な所から改善しなければそれも難しいです。ヨガや座禅、自律訓練法など患者さんにとっては難しく仲々効果を上げることはできません。それらのことはむしろ健康な人がやることで、上達した上で頻繁にやっていればいくらか効果はありますが、治療法にはなりません。