前項の、
NHKスペシャル「ここまで来た!うつ病治療」脳血流の画像診断装置・光トポグラフィー(NIRS)、磁気治療法
を、番組が放映される何日か前に、ネットの予告篇を見て腹がたったので書いておいたら、かなりアクセスがありました。
やはり多くの人は冷ややかに受け止めているのではないか、という印象です。
またかよ、そんなので診断できるのか、良くなるのか大いに疑問、やっぱり害はあるんじゃないか、というのが多くの人の反応かと思います。
さすがに、コレでよくなるに違いない!と何も考えずに思ってしまった人は少ないと思います。また騙すつもりか!もう騙されないぞ!といった怒りの声も少なくないようです。
私自身は、放映を見ると頭に来て眠れなくなりそうなので、他の本でも見ながら途切れ途切れにしか入らない携帯のワンセグで一応見ていました。腹がたちましたが、いい加減にしか見ていないのでそれほどでもなく、よく眠れました。
・抗うつ剤(SSRI)等の向精神薬では10年経ってもよくならない患者が多い
・にもかかわらず、安易な大量処方が行われてきた。
・抗うつ剤は自殺衝動を引き起こすなどの危険性もある。
・誤診が多い。確かな診断法はない。
といったことを、一応認めていた点では、これまでの同類の番組よりは進展したとは言えます。
基本的には前項で書いた通り、精神医療過誤、向精神薬害を広め自殺者を増やしてしまったことに対する、言い訳、責任逃れがNHK側の番組を企画、番組放映の意図だと思います。有害な薬を広めるためにだけ、報道しているのではない、と。
自分たちのために番組作りを行なっている。国民や患者のための番組を作るなら、「うつ病は薬で治る、早期に受診して…」とデマを流し、多くの人の健康を害することを率先して行なってきたことをまず謝罪し、精神医療過誤、向精神薬害について啓蒙し、被害者救済のための番組作りを行うべきです。
脳血流の画像診断装置・光トポグラフィー(NIRS)、磁気治療法についても、妙な慎重さが紹介に伺われました。
ここで新たな検査法や治療法など持ち出す事自体、「うつ病は薬で治る」といった宣伝文句が真っ赤なウソであることを認めたことにもなります。一つの病気に対して、全く違う別の治療法のいずれでも治るなどということはありえません。もちろんどれも治らないということです。
前項でも画像診断装置・光トポグラフィー(NIRS)は脳の血流のある状態を示しているだけで、診断に役立つものではない、磁気治療法は治療法ではないと書いていますが、その根拠ははっきりしています。
多くの精神科医にはわからないだけで、うつ病の原因は基本的には明らかであり、光トポグラフィー、や磁気治療法は病気の原因に即したものではないからです。他の「治療法」と同じく、原因と結果が逆になっており、本末転倒、倒錯が前提になっています。うつ病は疾患単位ではなく、せいぜい疾患概念としてしか成立しませんが、概念としても全く洗練されていません。ただ便宜的に使用できるのみです。
敢えて一言で言うなら、うつ病に限らず精神疾患の原因は、幼児期からのトラウマと現実のストレスです。
画像診断装置、光トポグラフィーでいくら血流を調べても、脳のその時の状態の一面を示してるだけです。確かに誤診は多く、躁病をうつ病とするといった甚だしい誤診も昔から多く、殆んどの精神科医は診断能力もないので、甚だしい誤診は多少とも減らせるかも知れませんが、診断の一指標、一所見にも成り得ません。
実際には単なる脳の血流状態の検査としても、精度等まだまだ不十分で実用的ではないようです。
そんなものより、向精神薬害による脳の萎縮等、脳の後遺症を調べる検査の開発のほうが必要です。対策がないとしてもわかったほうがいいですから。うつ病だ、双極性障害だとわかっても治療はできないし。
肯定的に考えれば、画像診断装置、光トポグラフィーは検査法の1つとしては使えるかもしれませんが、
「これは、典型的なうつ病だ」
そこで抗うつ剤等の向精神薬による、薬物療法を行うと
「いや、やっぱり双極性障害だ」、「あれれ、統合失調症になっちまったぞ」
それって悪くしてるだけじゃないですか?(実は薬物性の中枢神経障害)
という具合になりそうです。
何年も向精神薬を服用している人の脳を検査しても、もはやうつ病の検査にはならないでしょう。
抗うつ剤等の薬物では余計に悪くなるという証明に使えそうですが、そのような使い方はしないでしょうし、それ以前に採用されないでしょう。自殺の調査をすると、精神科・心療内科の受診・服薬が自殺を増やしていることがわかってしまうので、調査しないのと同様に。
妙な慎重さが伺えるのはその辺の事情によるかと思います。
甚だしい誤診が増えたのは、薬害によるものでもあります。元の疾患に加えて、薬害性のの中枢神経障害になりますが、精神科医は元の精神疾患の症状も、薬の副作用も、離脱症状も区別できないからです。
診断が出来たとしても、結局治療法がない。薬では一時的によくなったかのように見えても悪化するのは、うつ病だろうが躁病だろうが当たり前です。
磁気治療法はあたかも新しい治療法のように紹介されていましたが、こんな技術自体はずいぶん前からあったはずです。なぜ今まて使われなかったのか? 薬でよくなるという幻想、錯覚を作り出すことができたからでしょう。
磁気の生体に対する影響は、よくわかっていないというのが現状のようです。にもかかわらず、私が治療法ではない!と言い切るのは、もちろん病気の原因にも結果にも対応していないことが明らかで、見当違い甚だしいからです。
ヒップエレキバンドでも頭に巻いておけ、と書きましたが、ヒップエレキバンも医学的には効能は否定的、効果があるという科学的根拠はないようです。もちろんメーカー側は効果があると主張しており、私の知る限りでは効かなかったという人よりは聞いた言う人が多く、中には、「全くバカにしていたけどけっこう効いた」という話も聞いたことがあり、私自身は試したこともありませんが、何らかの効果はあるのではないかという印象です。
しかしもちろん、磁気で肩こり症が良くなるわけではなく、せいぜい肩こりに伴う諸症状の緩和くらいの効果しかなく、効果があってもクセになりやすい。
肩に張る位ならそうそう害もなさそうですが…、買うのもお金がかかるし面倒だし煩わしいし、さほどの効果もないので続ける人も少ないのでしょう。昔宣伝をしていた頃は流行ったけど、今は廃れて若い人は知らない人も多いかと思います。
機械を使って、エレキバンなどよりずっと強い磁気が脳に影響を与えるとどうなるか?
血流に影響を与えそうなのは、ある程度肯首できそうですが…、
治るわけではもちろんないが、対症療法としては使えるのか?
当たり前ですがもし効果があるとすれば、あればあるほど、脳は(というより生体は)血流をサボるようになる、磁気なしではやっていけない脳になってしまうはずです。そのうちやっても効かなくなり、やらなければ前より悪くなる。脳に外的な影響を与えることは薬でも何でも同じです。
神経に害はないのか?神経に影響するとすれば、おそらく大いに有害なのは間違いないですが、物理学的な知識に乏しい(知識が合っても)その根拠をハッキリ示すことはできません。しかし、電子機器に強い磁気を当てるのは良い訳ないですよね。まして脳に磁気とは…
体の病気ならさほど害がなければ、対症療法はそれなりには有効、必要ではありますが、今の医療は身体病でさえ、対症療法に偏り過ぎて、原因に即した治療法から遠ざかり、多くの問題をもたらしています。病院に行かないほうがマシ、ということが多いのは精神疾患に限ったことではないでしょうが、やはり甚だしいのが精神科・心療内科です。
うつ病など精神疾患に対する対症療法や、脳に外的な刺激を与えたり影響を与えるのがよくないのはわかりきったことです。うつ病だろうが何だろうが、精神疾患の場合は脳の病気、中枢神経疾患ではなく、脳自体は正常で、いろいろな場合がありますが、自然な働きをしているからです。
うつ病等の精神疾患は神経の使い方、もう少し正確に言うならば無意識による使われ方や、神経の状態がよくないだけですから、磁気刺激が神経に影響を与えるとすれば有害なのは当たり前です。