排尿困難

【排尿困難】



排尿困難の症状

排尿困難には膀胱や尿道周囲、あるいは排尿に関係した神経系の疾患など、身体的な原因のある器質性のものと、心因性(神経性)のものがあり、当所の自己治療法の対象になるのは心因性(神経性)の排尿困難です。実際にはその方がはるかに多く、ここでも心因性(神経性)の排尿困難についてのみ焦点を絞って記述します。

心因性(神経性・緊張性)の排尿困難の場合は神経そのものや膀胱など排尿器官に器質的な問題があるわけでなく機能的な疾患です。
心因性の排尿困難の方はいつも排尿が困難というわけではなく、緊張したり不安な時や特定の環境や状況のみで排尿困難になってしまいます。

特に男子に多いのですが、トイレで後ろに人が立っていたり、横や周囲に人がいたりすると排尿できない、外出時や旅行時、あるいは家や職場や学校など特定の場所以外では排尿困難になる人もいます。
これも他の神経症の症状と同じく、思春期頃には多くの人が多かれ少なかれ経験したことがある人も多いのですが、やはり大人になっても続いてしまう人も少なくありません。

女性の場合は個室のためかそのような症状の方は殆どいませんが、まれには自力では排尿できなくなってしまいカテーテル(管)を入れないと排尿できなくなる人も稀にはいます。
女性の場合は、(少量の)尿漏れがある方が多いのですが、この場合もやはり神経性、緊張性の問題である場合が多いのです。

神経性の排尿困難・排尿困難は、自律神経失調症などと同様に、それ自体が独立した疾患として存在することはありません。
身体症状として現れる問題でも、身体疾患ではなく精神疾患であり、神経症・緊張症の合併症です。

神経症とは神経の病気ではなく、精神的な問題(特に無意識の不安や緊張など)が神経に影響し体の症状として現れる、神経の状態や使い方が上手くなくなっている、より正確に言えば無意識による使われ方が良くない状態になっているということです。

神経性・緊張性の頻尿症の要因

排尿困難の人は頻尿症も合併している場合が多く、その他の自律神経失調症や身体表現性障害、特に腹部神経症、(緊張すると下痢しやすいなどの症状、過敏性腸症候群)も伴うことが多いです。頻尿症については「頻尿症」のページをご参照ください。

排尿困難の原因(誘因としてのトラウマと原因となるトラウマ)

排尿はできて当たり前のようですが、意外に難しいことです。
尿意の感覚は目で見て確かめることもできませんから、精神的心理的な状態に影響されやすく、不安や緊張が強いと感覚もあやふやなものになりがちです。

誰しも生まれたときから排尿、排泄のコントロールできていたわけではありません。トイレが自立するまでは失敗することもあったり、幼稚園・保育園や小学校低学年の頃にはおもらしする子もまだ多いのです。

行くべき時にトイレに行くということもある意味難しことですが、普段からリラックスできている人はそうそう短時間でトイレに行きたくなったり尿が満杯に溜まることはないし、膀胱や腹部がリラックスできていればかなりの量を蓄尿することができるのですが…

誘因としてのトラウマ

例えば、私が子供のころの実話ですが…
小学校六年の時、トイレで小便をしている友人の後ろから別なクラスの男子がお尻をどつきました。「おい早くしろよ」とせかしたのか、単純にからかっただけなのかよく覚えていませんが。
尿が出ている最中にオ〇ン〇ンがズボンの中に入ってしまい、もちろんすぐに止めることはできませんから、そのまま排尿してしまい、ズボンの内股部分をだいぶ濡らしてしまいました。
それがまた、からかいの対象になり…、でもそのことで彼がそう落ち込んだり怒ったりしているようには見えませんでした。
しかし、彼は排尿困難にはなっていないはずです。

当人が悪いわけではなく、自分でも、親や教師や子供とはいえ周りのクラスメイトもそれがわかっているので、自己価値観を下げたり傷つくことは少なく、あっても修復可能です。

こうしたトラウマも家庭環境など悪くなければ、記憶していてもそう苦にするわけではなく、克服可能なトラウマになります。しかし、上述のように家庭環境や親の対応、育て方に問題が大きい場合は、(原因ではなく)誘因としてのトラウマになります。

この場合、悪いのは後ろからどついた生徒であり、もちろん自分でも、親や教師や子供とはいえ周りのクラスメイトもわかっているので、自己価値観を貶めたり傷つくことは少なく、あっても克服・修復可能なのです。

彼は寛容だし温厚だし、そのくらいのことでは怒らないしイイ奴だな、人間ができているな、見習わなければとさえ思ったことが記憶に残っています。多くのクラスメイトも同様のはずで、その後そのことをバカにしたりからかったりする人がいた記憶はありません。

こうした傷つくような嫌な体験も家庭環境など悪くなければ、ずっと記憶していているからといってもそうそう苦にするわけではなく、克服・修復可能であり特にトラウマになるわけではないのです。しかし、家庭環境や親の対応、育て方に問題が大きい場合は、(原因ではなく)誘因としてのトラウマになることが多いのです。

原因としてのトラウマ(心的外傷)

排尿困難などの神経性の身体症状の要因は、心理的な緊張、ストレスですが、やはり幼児期からの環境、親・養育者のしつけや対応が影響しており、それがトラウマ(心的外傷)場合が殆どです。上述のようにある程度の年齢になってからも失敗しておもらしした時の体験が、後に影響することもありますが、大部分がまだ覚えていない幼児期からの影響です。

子供の頃、ようやくオムツが取れてもまだ失敗することも少なくないはずで、排尿に関する過度に厳しいしつけや、抑圧・干渉的な対応、やさしく見守って教えて躾けなければならないときにも過度に厳しく罰し、子供の時に傷ついた体験などが後に大人になってからも影響します。

親自身が心配性だったりセルフコントロールが苦手だと、子供の不安を和らげて安心させてあげるべき場合も、そうした対応が苦手であったり、余計にプレッシャーをかけて緊張させたりすると子供にも不安や緊張を与えてしまいます。しかし多くの場合、無自覚もしくは否認していますが。

そうした親の対応により、親の不安や心配が乗り移って催眠術にけられたように、子供自身も不安になり、また自分自身が不安や緊張をコントロールしてリラックスするというセルフコントールが身に付きにくいのです。
幼児期のしつけや養育過程は、子供にとって生涯続く催眠をかけるようなものです。

排尿困難の人の場合、特に幼児期のトイレットトレーニング時の親の不適切な対応により、トラウマ(心的外傷)の影響が出る場合が多いようです。広い意味では神経症でもあり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という面もあります。

よくトラウマ(心的外傷)という場合、原因としてのトラウマよりも誘因としてのトラウマを問題にしやすいですが、他の神経症症状と同様に、やはり主な原因は幼児期の覚えていない、もしくはわからないトラウマが大部分であり、過去のショックな出来事や傷ついた体験が無意識に影響し、思春期あるいは大人なってから問題が出る場合が多いです。

排尿困難の治療法

身体的要因のある排尿困難や排尿困難の場合は、泌尿器科などの病院を受診することが必要であり、その場合は当所の治療の対象外ですが、そのような人は高齢者を除けば僅かです。
原因がわからなければ、とりあえず泌尿器科等の病院で見て貰うのも必要かもしれませんが、身体的な問題のない場合が多く、その場合は泌尿器科や神経内科では扱われず、精神科や心療内科を勧められます。

しかし精神科・神経科や心療内科などの病院では、これといった治療法はなく、精神安定剤・抗不安薬等の向精神薬を処方されることが多く、他にはせいぜい、カウンセリングや認知行動療法くらいです。
薬物ではまれには改善しても一時的でしかなく、根本から改善しているわけではないので、また症状がぶり返してしまうだけでなく、ますます改善困難になってしまいます。

精神安定剤・抗不安薬等の向精神薬は特に依存性が強く、特にベンゾジアゼピン系抗不安薬は心理的依存だけでなく、身体的依存性も非常に高く、離脱症状も強く、長期服用の安全性は確かめられていません。
服薬を止めてしまうと、余計に不安なり結果的には症状もぶり返しすだけなく、離脱症状があるため心身ともに苦しくなることも多いので、あたかも治療効果があるかのように錯覚してしまいます。
薬を飲まないとダメ、という心理的依存も形成しやすく、一時的な効果さえないのに薬が止められない、という方も多いのです。

基本的には悪化するばかりでなく、薬害性の神経障害も引き起こしてしまうので、そのような精神科病院や心療内科は受診たり服薬はしない方が良いと思います。これはもちろん排尿困難だけでなく、不眠症、自律神経失調症,心身症(身体表現性障害)、更年期障害、など精神的緊張などの問題から来たす身体症状に関しても同様です。

排尿困難の人は頻尿ばかりを気にして、他の症状はないと思う人も多いのですが、実は他の症状の方が大きく深刻であることはよくあることです。神経症には多種多様な症状を併発していることが普通で、排尿困難も神経症の症状の一つであり、精神疾患の合併症ととらえることも必要です。

体の病気でいえば痛みだけが気になる、患者さんの主観ではそれだけが問題と考えてしまうこともありますが、痛みだけが病気の症状ではなく、痛みそのものが病気でもないし、痛み止めだけでは病気は良くなりません。痛みには原因があり、なるべく原因に即した治療が必要です。

頻尿という症状だけにこだわるより、人と同じ時間と場を共有できる、その場でリラックスしていられる、相手を安心させる、緊張させない、楽しく有意義な話ができる、ということに努力したほうが、結果的には排尿困難の克服のための自信にもつながります。

基本的には精神的にも身体的にも緊張が強く、その影響も色々ありますが、頻尿もその一つということです。従って「急がば回れ」という考え方も必要であり、例えば運動や感覚面など、色々な面からの治療が必要です。

排尿困難や人は、腰回りの緊張も強く、腰痛になったりヘルニアなどの器質的な問題にもなりやすく、あわせてその対処や予防も必要です。

リラクゼーションと同時に神経をうまく使えるようにすることが必要であり、ヨガ・座禅などから古今東西様々な方法があり現代では一見百花繚乱状態ですが、それらの方法は実践が難しいか、あまり効果がなく効果があっても一時的である場合が殆どです。

排尿困難に限らず、神経症、自律神経失調症の克服のためにはやはり根本から改善する治療法と同時に、ストレスの多い難しい環境にも適応できるような心身の技術も必要です。

当所が提唱する自己治療法では排尿困難の方も短期で改善可能です。心因性、環境因・心因による神経性排尿困難や排尿困難の方は、ぜひ購入して実施してください。
精神科や心療内科などの病院・医療機関や、他の催眠療法(ヒプノセラピー)、心理療法、カウンセリング、代替療法などを受けても改善できなかった排尿困難の方も改善可能です。