統合失調症の妄想

【統合失調症の妄想について】


統合失調症の患者さんの妄想は、電波や電磁波で影響されているといったものが多いのはなぜだろうか?

例えば感情はどのように伝わるとか、そういうことはわかりません。表情とか声となどでもわかりますが、そうした一般的な知覚だけで判断しているわけではないし。電話もメールがなかった頃の昔の遠距離恋愛みたいに、会うわけでもなく連絡するわけではなくとも、ある程度相手の気持ちはわかり、相手が浮気したりもう醒めていたりすると、こっちも不穏な気分になります。

自分が好意を持っている相手には何となく伝わるし、こちらのことを知らなくても相手も好意を持ってくれます。そうした感情などがなぜどのようにして伝わるのか、今のところ科学の対象にすることもできません。もちろんいろいろな判断材料はありますが、それで判断してわかるだけではありません。
無意識の洞察ができれば、無意識に反応しているということは明らかですが。普通は直感、勘と言っているだけです。

こうした感情や感覚、人間同士の伝播がわからなくても、コミュニケーションや人間関係に問題がなく上手くいっていれば良いので普通はあまり気にしません。これらのことを察するのことは、患者さんは非常に苦手で対処能力も低いのですが、気づかずにいることも、むしろモロに影響を受けてしまうことが多く、上手くいかず苦しんでしまいます。

また、患者さんは感情もしくは感覚的に地獄のようにとても苦しい状態が多いのですが、その理由はわからず、そのような苦しい感情や感覚が自分の中から湧いてくるのではなく、どこからか伝わってきて自分に影響を与えているものとして知覚します。でも、どこから来ているのか、どのように影響しているのかわからない。精神科医なら「脳の病気」で片付けてしまうかも知れませんがもちろん根拠はありません。


実は脳の病気で頭が狂っているので、現実にはありえない知覚や認識をしているのではなく、過去の影響であり、幼児期からの心的外傷、トラウマの影響です。本人は幼児期のことはわからないし、それがわかると余計に恐ろしいことになるので認めることも難しい。内面的、精神手に余計に苦しくなるということもありますが、実際に余計に傷つけられひどい目に遭うという事態も招いてしまいます。虐待者や周囲の者が無意識に反応するので。

そこで内的な苦しい不安や恐怖に満ちた感情や感覚のといったものがどこから来るのか、どのように伝わるのかは切実な問題となりますが、知ることも確かめることもできません。精神科医や心理カウンセラーも事実を捻じ曲げ、自分を偽り正しいことは教えてくれません。統合失調症は脳の病気と信じており、トラウマを否認しているからです。事実に基づいていないことは信じることはできないし、信じても何の解決もなく、自分の中でも納得感は得られません。

また、幼児期から激しい支配や抑圧、干渉などを受けているため、十分には自我が育っていません。自分の意志や感情や感覚、自己が確かなものではないのです。「させられ体験」なども同様ですが、外部からの影響に自分が影響され支配されているという感じも強いのです。

とりあえず外部から自分に影響を与えている可能性があるものとして、現実的にあり得るものは電波とか電磁波なのでしょう。感情や感覚などの伝播をそのせいにすると証明もできず解決はしなくとも、一応整合性もあるし気持ちの整理もしやすく納得感も得やすいのでそう思いこんで信じてしまいます。

というわけで、統合失調症の患者さんは、普通の人が当然知っていることはだいたい知っており、皆が知らないことはやっぱり知らないのです。一見、奇妙、異常で、事実に反しているようで、実はかなり事実に基づいており、精神科医なんかよりもずっと正しい、ということは大いにあることです。

患者さんはむしろバカ正直なので誤認や否認、解離はあっても、自分で自分を騙せないのです。一見奇妙な事実とはかけ離れたかのような幻覚や妄想といった症状も、直接関係なのないことに結び付けられてはいても、過去の事実に基づいています。

やはり治療は事実に基づいて、真実を追求するものではなくてはなりません。嘘やまやかし、ごまかしは一時しのぎにはなっても、結局のところ余計に人を苦しめ傷つけます。
精神科医や関係者だけでなく、一般の人やもちろん家族も、患者を追い詰め、症状を余計に強化しているという面は大いにあります。病気の理解を深め、嘘や偽り、まやかしや誤魔化をやめるだけでも患者さんはずいぶん良くなります。精神科医は騙せても患者は騙せないのです。

何もわからない精神科医でも精神病は「脳の病気」では無く、「心的外傷(トラウマ)」が原因という前提で接すると、今までよりも遥かに上手くいくことがわかります。そうでなければ精神療法は成り立たず、どうしても薬物に依存し悪循環になってしまいます。正しい考えは結果を出せます。しかし、そうなると精神科医を辞めることになるのかも知れませんが。

もし「脳の病気」だったらどうしてくれるんだ、責任は取れるのかって、もちろん気にしなくて良いです。少なくとも今のところ「脳の病気」を治す方法はなく、薬や電気ショックは脳に影響というよりダメージを与えるだけで、一時的な効果はあるかのように見えても悪化します。いずれにしても精神科医は責任をとるようなことはなく、これからもそうでしょう。