【神経症】
神経症(不安神経症-全般性不安障害、強迫神経症など)Neurosis
神経症とは…
精神疾患、心の病気は身体の病気とは異なり、それぞれ独立した病気ではなく、明確な区別があるわけでもないのです。病名、疾患単位ではなく疾患概念として考えるべきです。人によって症状・程度もいろいろですが、症状が1つや2つだけという人もいません。ある程度、典型的な例やパターンがあるので、便宜的な名称として診断名、病名をつけているに過ぎません。
神経症という名前がついていますが、神経そのものの疾患ではなく、神経の働きや状態が悪くなっている状態ともいえます。英語ではneurosisで、ノイローゼと言うのは元はドイツ語で、今はあまり使われませんがこれまた大いに誤解を招いてきた言葉です。
心理・精神的な働きは常に神経の働きでもあり、精神・神経は一体のものですから、様々なありとあらゆる症状がありえます。
近年、神経症という言葉はあまり使われず、例えば強迫神経症は強迫性障害といわれるようになりました。これは疾患の原因や特質には関係なく、便宜的な分類に過ぎないDSMが偏重されたということでもあります。しかし、元々はdisorderなので不調や不具合ということで、障害とは訳せないはずです。逆に日本語の障害を英訳するとimpairment、disability、handicapなどで、disorderにはならず誤訳であり、不適切なので2013年を目処に訂正されるようです。
なぜこのような誤訳がまかり通ったが問題ですが、神経症とすると心因、環境因による精神疾患ですから薬物療法は不適切で、実際に改善できません。しかし、精神疾患は脳の病気とし、薬物を投与する製薬会社や精神科医など医療側としては甚だ都合が悪いので、神経症という言葉は忌み嫌われて、障害という言葉が採用されるようになったわけでしょう。疾病というより障害なら治らなくて当たり前と、医療側の正当化にもなっていると思います。
スキーで足を骨折して車椅子になっても、普通は治るのでケガ人であって、障害者とは言いませんが、片足を切断すれば生えてくるわけではないので障害者ということになります。
しかし問題は誤訳が訂正されても、誤解が訂正され正しい理解にはなりそうもないことです。
昔から言われている不安神経症(全般性不安障害)、強迫神経症(強迫性障害)、抑うつ神経症(気分変調性障害、抑うつ性障害)などの神経症に限らず、精神的な病気の場合は、ある一つの特定の病気と決めることは困難で、むしろ不適切です。
医師や病院、地域によっても診断が異なることがあるのは、ある程度、やむを得ないことですが、精神科医によっては明らかに間違ったとらえ方や、甚だしい誤診をしている場合が多いです。
神経症の症状はありとあらゆるものがあると同時に1つの症状も別な見方をすると、同様の症状でもあります。パニック障害は急性の自律神経失調症でもあり、不安神経症は不安によって起こる思考や観念は同時に強迫観念でもあり、強迫神経症でもあります。
また、パニック障害、対人恐怖症、会食不能症、吃音症、視線恐怖症、赤面症(赤面恐怖症)、なども神経症、もしくはその症状であり、多かれ少なかれ自律神経症状も伴っているのが普通で、神経症の方は(他の精神疾患の人も)程度はともあれ、同時に自律神経失調症ということもできます。
神経症の症状は、通常の心理の中でも起こりうるものですが、症状が過度になると仕事や生活に支障をきたすようになり、そうなると病気として考えざるを得なくなります。
単純化すれば程度問題で、病気と正常の境はありません。
精神科や心療内科などの病院を受診して、安定剤などの薬物療法を受けた方も多いと思いますが、殆どの場合、症状は改善せず、副作用ばかりであった人が多いと思います。薬が合えば、症状がある程度落ち着く場合も、全くないわけでありませんが、根本的な治療にはなりません。
「神経症」の病名、診断名
不安神経症
全般性不安障害ともいう場合もあります。過剰な不安が全般的、持続的にあり、落ち着きなさ、疲れやすい、集中力がない、などの精神症状の他、不眠症や自律神経症状を伴うことが多いです。
強迫神経症(強迫性障害)
よく知られているのは洗浄強迫(不潔恐怖)や確認強迫、数字などが異様に気になるなどですが、同じ言葉ばかり頭に浮かんで堂々巡り、まともな思考を妨げでしまうなども強迫観念です。バカバカしい止めたいと思っても辞められないのは、基本的には幼児期の不安や恐怖に起因しているからで、いくら繰り返しても解消しません。過去は変えられず幼児期の影響は大人になってもずっと残るからです。
恐怖神経症
対人恐怖症、視線恐怖症、赤面恐怖症などもこのうちに入りますが、最近は恐怖神経症という言葉はあまり使われず、社会不安障害と言うようにもなりました。広場恐怖症は、パニック障害(パニック症候群)として扱われることが多くなりました。
動物(ヘビなど)、昆虫、高所、雷、飛行機などの乗り物、閉所や暗い所、血液、注射、歯科や病院、トンネル・橋などのような特定の対象や状況を避けるために、日常生活にも不都合を生じるようになる人もいます。しかし、特定の動物などが怖がる人は他の症状を置き換えており、そのような方はある程度自分の症状の意味を理解し、それだけが問題ではないことを理解・洞察する必要があります。
抑うつ神経症
気分変調症、気分障害とも言うことあります。うつ病というほど重症ではありませんが、うつ状態がある程度長く(2年以上)続く。実際には、うつ病とはっきりした区別があるわけではなく、いずれにしても診断の根拠は確かではありません。うつ病という診断が濫用されてきたのは既にご存知だと思います。
従来はうつ病は何だかわからないが、患者の器質的な問題など内部に原因がある内因性精神疾患であり、抑うつ神経症は心理的な要因による心因性精神疾患とされてきましたが、あまりにも事実から離れた不適切な概念です。「うつ病キャンペーン」以降は、こうした区別はあまりされなくなり、何でもうつ病とされてきました。
離人神経症(離人症)
自分自身や外界に対してごく当たり前に感じている感覚が変化したり、場合によっては無くなってしまいます。
ヒステリー
身体面を中心とした転換症状(転換性障害)と、精神面を中心とした解離症状(解離性障害)に分類されますが、転換症状にも解離が働いています。転換症状は身体表現性障害と言われることもあります。
心気症
心気症はささいな心身の不調にこだわり、執拗にとらわれて、重大な病気の徴候ではないかとおびえてしまう。さらに心身の不調や疾病恐怖を周囲の人に訴え続け、実際には病気でなくても医師や他者の言うことも受け入れないことが多いです。
症状名や診断名が何を意味するかはあまり問題ではなく、調べればわかるのでここで詳しくは触れません。
「神経症」の原因
やはり他の精神疾患と同じく、幼児期の心的外傷とらうまです。激しい虐待ということは殆どなく、親の過干渉、過保護、抑圧などの影響が主なものです。不適切な厳しい叱責など子供の心を傷つけるような養育ももちろん影響します。
そのため適応性が阻害されるということでもありますが、思春期以降、適応困難な状況になると発症する場合が多いです。
症状は現実の適応困難ということでもありますが、過去の影響がむしろ成長するにつれて出てくるということです。子供の頃はまだ発達する能力があり、神経の働きも生き生きとして良いので、まだ健康なのですが。
過去の影響が悪い催眠のようになって、無意識の不安や恐怖、緊張などがいつも神経の働きを阻害し、その上で神経を上手く使うということは大変なことです。そのためいろいろな症状だけでなく、上手く行ってこともができなくなることもあります。
「神経症」の治療法、対処法
精神科、心療内科などの病院・医療機関では、神経症に対してペンゾジアゼピン系の抗不安薬(ソラナックス、デパス、ワイパックス等)などの向精神薬が処方することが多いです。強迫神経症などの場合は新型抗うつ剤SSRIが処方されることもあります。
しかし、殆どの人には有効ではなく、効果はあっても一時的に不安を抑えるだけで、基本的は逆効果であるにもかかわらず、副作用もあり、依存性や危険性が非常に高いです。ある程度の期間、服用すると止めても激しい離脱症状が起こることが多く、服用するのも服薬を中止するのも危険になってしまいます。SSRIなどの抗うつ剤も基本的には同様です。ベンゾジアゼパム系の抗不安薬は諸外国では長期服用が禁じられていることが殆どです。
症状自体を何とかしようするのは得策ではありません。症状には過去の影響と現在の影響があります。「急がば回れ」で、適応能力を改善できるように、考えたほうが良いでしょう。
もちろん、私が提唱するセルセラは害もなく有効です。基本的な治療を行って神経の状態や働きを改善させたうえで、症状の意味を理解し、自分なりの解決法や克服法を発見していくことも大事です。原因や基本的な症状の要因はどんな人でも同じですが、やはり症状もその解決法も人それぞれというところはあります。
親と同居したり頻繁に連絡をとっている人は、なるべく親とは距離を起き離れたほうが良いです。今は過干渉や抑圧などの問題がなくても、一緒にいるだけで影響してしまいます。中学生くらいから「親は自分の子供」として接するように心がけるべきです。親はまた距離を置いて、自分の子供だと思わずに子供扱いせず、親戚の人、甥や姪くらいに考えて接するのが良いですが、親離れよりも子離れの方が難しいかと思います。