【会食恐怖症】
会食恐怖症(外食恐怖・会食不能症)の症状
人と食事が出来ないことが基本的な症状なのですが、会食恐怖症候群(会食不能症)の場合、その症状の程度や形は千差万別です。例えば、家や野外などでは大丈夫だが、レストランになると人と食事ができなくなる人や、親しい友人など、気心が知れた人は会食可能だが、目上の人や馴染みの薄い人とはできなくなる人、家族との会食のみできない人も存在します。
「会食会話恐怖症」とも呼ばれており、会食中の会話に不安を覚え食事ができない人も存在します。というよりも、基本的には「食べられない」という以前に、人とリラックスして上手く会話をすることができない、それ以前に、一緒にいる、場を共有すること自体が不安で緊張する、といった面も多かれ少なかれあるようです。
不安になり、吐いてしまったらどうしよう、人前で緊張して食べられなくなり、それを変に思われるのではないか、などと思うこと自体が、悪い自己催眠になり、さらに緊張し不安を大きくしてしまい、吐き気やめまいなどの症状も強くなり、悪循環になってしまいます。
会食恐怖症(外食恐怖・会食不能症)の原因
会食恐怖症は不安神経症や対人恐怖症でもあり、自律神経失調症も伴うことがほとんどで、他の神経症と基本的には同じです。すなわち、小さい頃からの環境による影響(親・養育者の対応、接し方)が根本的な原因です。
最近は、塾や習い事など、また、親も仕事などで忙しく、「孤食」が多くなり、家族揃ってにぎやかに食事をする機会が減っていることも症状形成の一つの要因となっていますが、それが原因というわけではありません。
会食恐怖症(外食恐怖・会食不能症)の治療
精神科・心療内科などの病院では、薬物療法の他にカウンセリングなどが行われるます。
薬物療法では、不安感の軽減を目的にベンゾジアゼピン系抗不安薬が用いられたり、抗うつ剤(SSRI、SNRIや三環系抗うつ剤・スルピリドなど)が用いられることもあります。
一見、有効性があるかのように見える場合もありますが、実際にはそれで改善するわけではありません。薬を止めてしまうと、余計に不安になったり、結果的には食べられたり、食べられなくなったりということはあるので、あたかも治療効果があるかのように錯覚するだけであり、薬を飲まないとダメ、という心理的依存を形成しやすく、表面的な効果さえないのに薬が止められない、という方も多いのです。
特にベンゾジアゼピン系抗不安薬は依存性が高く、心理的依存だけでなく、身体的依存性が非常に高く危険です。抗うつ剤の依存性、危険性はいうまでもなく別項でも述べているとおりであり、離脱症状も強く、服用を中止したり飲み忘れでも、数日後に激しいめまいがあり、長期服用の安全性は確かめられていません。吐き気やめまい自体はそうそう長く続くことは、あまりないのですが。
基本的には、なるべく会食・外食の機会を避けない方が良いと思います。会食恐怖症の人は、食べなきゃいけない、食べられないのはおかしい、といった強迫観念も強いといえます。
一般の人でも、食事をしたくないときやできないことはあり、実際にしなくても本人も回りの人も別に何とも思いません。
今日はお昼が遅かったからお腹一杯、家に家族が用意してあるから…、などといった理由をそつなく言えば誰も不思議に思いませんし、もちろん実際にそういうことは多いのです。お茶だけ頼むとか、飲みものさえ無理なら、別に飲まなくてもいいわけです。
頻回に会食をしなければならない相手には、症状を伝えたほうがいいかもしれません。その方が却って気分的に楽になり、食べられるようになることもあるでしょう。
難しいかもしれませんが、なるべく食べやすい条件を作り段階的に自信をつけていくのがいいでしょう。ハイキングに行って一緒におにぎりを食べるなど、屋外の方が食べやすい人もいるかと思います。慣れないと抵抗がある人も居ますが。
多くの人の場合、人に食事をおごる、という経験をしていません。なるべく、自分が食べやすい状況を進んで作り、経験を積んで行くことも必要です。例えば職場の上司と一緒では食べ難いかもしれませんが、同僚や後輩を食事に誘う場合は食べやすいかと思います。
「急がば回れ」でもあります。食べられる・食べられないという結果だけにこだわるより、人と同じ時間と場を共有できる、その場でリラックスしていられる、相手を安心させる、緊張させない、楽しく有意義な話ができる、ということに努力したほうが、結果的には食べられるという自信にもつながることも多いです。