睡眠・覚醒の確立。休養も危険!? 寝ても疲れてしまう。 うつ病、不眠症など。
こちらの記事、『寝れば寝るほど眠くなる、うつ病などの傾眠・過眠・嗜眠』の続き、というか補足です。発達過程と睡眠・覚醒の確立についてです。
健康な人であれば、起きている時は活動して、夜になるとぐっすり眠れるのが普通です。
しかし元々睡眠と覚醒というのは区別があったわけではありません。
お母さんのお腹の中の時の胎児の時は、寝ていたのでしょうか?起きていたのでしょうか?、よくわかりませんが、おそらく寝ていたとも起きているともいえるような、睡眠と覚醒の区別がない状態だったのではないでしょうか? ではその前の胎児の前、細胞分裂をくりしかえしていた頃は?などと考えると頭が痛くなりますが、とりあえず考える必要はないでしょう。
生まれたばかりの赤ちゃんはよく寝るだけでなく、起きている時と寝ている時の区別も殆んどありません。ハッキリとした覚醒は泣いている時だけとも言えます。
まだ外界との関わりが乏しく、感情や感覚も未分化で快不快以外はまだあまりありません。親との関わりや周囲との人的、物的な関わりができてくると、睡眠と覚醒の区別もだんだんハッキリしてきます。寝る時はぐっすりと良く眠れて、起きている時は親があやしてあげたり、有意義な関わりや働きかけがあった方がいいのは言うまでもありません。
「寝る子は育つ」といいますが、あまり小さい頃から大人のように寝るのは夜だけで、昼はずっと起きていては発達に問題を残します。幼児にはある程度の長い時間の睡眠が必要であり、睡眠・覚醒の確立はそれなりの時間かけて発達するものです。
幼稚園や保育園に行く頃になっても、昼寝くらいは必要でしょう。たいてい、お昼寝の時間がありますよね。小学校ではもはやお昼寝の時間はないし、授業中に寝る子供も殆んどいません。(昔はそうでしたが、今はそうでもないかな?)しかし、中学や高校の頃は居眠りをする人は少なくないし、ついつい授業中に寝てしまい、先生に怒られた人も多いと思います。もちろん私もそのクチです。
このように睡眠と覚醒の区別は徐々についてくるものであり、人生の初期にそもそも明確な区別があったわけではなく、確立したのは発達過程において、数年もかけて訓練した結果ともいえます。
睡眠と覚醒の区別が明確にして、生活リズムを保ち、覚醒時の意識レベルを保つことは、日々の生活習慣によってもたらされるものです。これが、「うつ病は休養が必要」だからと行って、ゴロゴロして過眠になり、不規則になると、何日も経たないうちに生体リズムが崩れてしまいます。
体力を保つのには日々の運動も必要であり、一度体力がつけば後は何もしなくても保てるわけではないのと同様です。とりあえず、「うつ病は休養は必要」でもありますが、必要以上の休養は有害でもあり、休養は難しいことともいえます。
うつ病などの精神疾患の人はむしろ休養していても休まらない。何もしなくても神経が緊張しており、脳も体も疲れてしまいます。寝ているときも緊張しており、休まるはずがなおさら疲れてしまう。朝起きたらげっそり疲れて、頭痛や眠気も取れなかったり。仕事や学校に行くどころではありません。この場合、脳の中に無意識の不安や緊張、葛藤があり脳(中枢神経)を無意識に無駄に使っており、身体の神経も緊張して、骨格筋も無駄な力が入っています。
人間、適度な緊張や活動は必要なことで、覚醒時に活動しているからこそ夜はリラックスできてぐっすり眠れるのです。生き生きと活動していれば、そんなに疲れませんし、疲れても休めば回復するし、体力も付くのですが。
抗うつ剤や睡眠薬などの向精神薬は神経の負担も増えるため、神経は余計に消耗してしまうことが殆んどです。
筋弛緩効果、リラックスされる薬であっても神経にとっては不適切な働きであるため、その反動や代償がおこってくるのでず。
抗うつ剤や睡眠薬などの服薬と休養は、うつ病の人が悪化したり良くなりにくい要因にもなっています。
うつ病になって無理して仕事をしていた時より、精神科医に休養を勧められて、仕事を休むと余計に具合が悪くなった、悪化した、慢性化した、などというのは休養、睡眠の問題も大きく、抗うつ剤等、向精神薬もさらに悪い影響を与えることが殆んどです。
前項で過眠の問題を書きましたが、過眠して必要以上の睡眠をとると、覚醒時の意識レベルが低くなり、睡眠と覚醒の区別が乏しくなってきます。睡眠は浅く、起きている時もいつも眠い。
起きて活動するからこそ眠くなる、ぐっすり眠るからこそ、生き生きと活動できるのです。うつ病の人にとっても同様で、むしろ必要なこととも言えます。
生活リズム、覚醒レベルを保つのには、やはり前項で述べたように辛くてもなるべく、どんなことでもイイので活動することも必要なのです。もちろん、なるべくイキイキとした楽しい活動の方がいいのですが、嫌々でもたいへんでも、何もせずゴロゴロするよりは何かしたほうがいいのです。
散歩、ウオーキング、山歩き、水泳など一定のリズムを持った軽い長めの運動は良いのですが、とりあえず前項で書いたような一分間逆立ちをすると、ちょっとやる気も出て、その後の活動がしやすくなります。
この項はまた続きを書くつもりです。
リラクゼーションも必要ですが、根本的な所から改善しなければそれも難しいです。ヨガや座禅、自律訓練法など患者さんにとっては難しく仲々効果を上げることはできません。それらのことはむしろ健康な人がやることで、上達した上で頻繁にやっていればいくらか効果はありますが、治療法にはなりません。
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